こんにちは!アオシマです。
きょうは、昨日の続きで、
「何で面倒なのに宇和島まで真珠を仕入れに行っているの?」
というお話です。
ただ「安く仕入れられるから」ではありません。
真珠、イヤ、他のジュエリーもそうですが、
素材を上流から仕入れた方が安いのは確かです。
でも、それは、そのまま店頭に並べられるわけではありません。
例えば、私がスリランカとかに行って宝石の原石を買っても、
研磨をして、それに合った指輪やネックレスの枠に留めて、
初めてジュエリーとなります。
原石を見極める経験値は持ち合わせていないので、
研磨したら意外と綺麗じゃなかった・・・といったことも考えられます。
真珠の場合も、昨日書いた通り、
「穴あけ」「汚れ落とし」「しみ抜き」「調色」といった、
専門的な知識を要するプロセスが必要になりますし、
微妙な色合わせをしながら50粒近くの真珠でネックレスを組むのも、
かなりの手間です。
さらに、思ったより色合わせが上手くいかず、
残ってしまう真珠が多くなってしまうリスクも・・・。
仕入れの目が確かなら、卸屋さんから完成品を適正価格で仕入れると
いうのは、手間やリスクを考えると至極当たり前のことです。
正直、これらを勘案すると、生産者さんから直接仕入れるというのは、
劇的に真珠の販売価格を下げられるわけではないんです。
▲生産者の桑山さんと、アオシマ会長。
じゃ、なぜこういうことをしているかというと、
ヤマトヤの真珠をつくってくれている生産者・桑山さんの想いと、
それを実現するための取り組みに、すごく共感できたからなのです!
桑山さんがつくる真珠の、ちょっと変わった育て方。
桑山さんの真珠づくりは、他の養殖業者の行っていない独自の方法を採っています。
それは、真珠の「育成方法」。
養殖真珠は、貝殻を球状に削った「核」をあこや貝の中に入れ、
その周りに真珠層ができあがっていくことでできあがります。
一般的には、1か所の海で核入れ・育成・浜揚げまで行うのですが、
桑山さんは、時期により最良の海に貝を移動させ、
より良い真珠を作るという取り組みをしています。
▲ヤマトヤの真珠が育つ場所の図
冬の核入れ作業は、宇和島よりも南の高知県・土佐清水の海で。
宇和島の海よりも海水温が2~3度高いことから、
通常より早い時期に核入れをすることができ、
貝が真珠層をつくる期間がより長くなるそうです。
春になったら、プランクトンが豊富な宇和島の真珠養殖の中心地である
「津島」エリアにて、7月頃まで貝を育てます。
真夏になると、水温が高すぎて貝が夏バテを起こしてしまうため、
水温の低い北の佐田岬半島へと場所へ移し、
貝にストレスがたまらないようにしています。
夏を越したらまた津島に戻し、1月頃に真珠を取り出す、といった形です。
これって・・・あこや貝たちにとっては、めっちゃ過保護な育て方ですよね(笑)
でも、確かな技術を持ち、海外での技術指導の経験もある桑山さんが、
あこや貝にストレスをかけずに綺麗な真珠を育てさせるために考案して、
実行しているんです。
何万ものあこや貝を移動させるときの苦労や、
養殖を行う海の場所を確保できるまでのお話を聞くと、
その情熱は本当にハンパないものです。
私個人的にも、日本が海外に誇れるほぼ唯一の宝石である真珠を、
よりお客さまに広めていきたいという思いがあります。
その上で、桑山さんの作る真珠は、本当に自信を持っておすすめできるお品物。
そんな、ヤマトヤの真珠が店頭に並ぶまでの背景の部分も、
お客様にしっかり伝えていけるようにしたいと思います!